【雑誌掲載記事】月刊「測量」2016年12月号
第27回 応用測量論文奨励賞 受賞論文

全方位道路展開図による新たな道路沿道表現および活用事例の紹介

(月刊「測量」2016年12月号「公益社団法人 日本測量協会2016年12月発行」:テクニカルレポート)
※ 本記事は、公益社団法人 日本測量協会の承認のもと転載しています。

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1.はじめに

道路に関連した地理空間情報の中でも,道路地図は,道路の設計や維持・管理計画の立案,補修工事の実施,経路案内,さらには今後急速な発展・普及が見込まれているITS (Intelligent Transport Systems;高度道路交通システム)や,ADAS (Advanced Driver Assistance Systems;先進運転支援システム)を実現する上で必要不可欠な基礎データとなっている。現在一般的に使用されている道路地図(ベクトル地図)では,道路境界やそれに付随する地形や地物等,ごく限られた情報のみが平面図上に表現されており,道路周辺の建物や街路樹等の沿道環境やランドマークについて,効果的に現況を把握することが必ずしも容易ではない。
本稿では,道路および沿道に関する直感的な現況の把握を可能とする新たな地理画像表現である「全方位道路展開図」について紹介する。同展開図は,MMS (Mobile Mapping System;移動計測車両システム)によって連続的に撮影された全方位画像を用いて,MMSの走行経路に沿った沿道の画像を擬似的に道路面上での画像として展開し,表現するものである1)。生成された展開図は,道路周辺現況の視認性を向上させる単なる画像閲覧用途にとどまらず,通常のオルソ画像と同様に位置や距離等の簡易計測が可能である。そのため,同画像は道路地図の整備の効率化への活用の他,経路誘導用の背景図としての利用,Google社が提供するWebサービスであるストリートビューを代替する,より直感的な空間表現手法としての活用等,様々な用途に用いることができる。


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