【雑誌掲載記事】月刊「測量」2017年2月号
森林GIS No.17

福島県における登記情報を用いた森林情報の精度向上

(月刊「測量」2017年2月号「公益社団法人 日本測量協会2017年2月発行」:森林GIS No.17)
※ 本記事は、公益社団法人 日本測量協会の承認のもと転載しています。

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1.はじめに

福島県の森林面積は,97万5,000haで県土の約71%を占める森林県です。本県は,平成23年に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の影響により,山菜・きのこの出荷制限や森林整備が停滞するなど,林業活動に大きな影響を受けております。こうした状況の中で,県内の森林を再生させるため,放射性物質対策と森林整備を一体的に実施するふくしま森林再生事業に取り組んでいます。

ふくしま森林再生事業は,放射性物質の影響を受けた森林を中心に,県や市町村等の公的主体が,放射性物質の影響低減,拡散抑制を図ることを目的として,間伐等の森林整備とともに路網整備を実施しています。しかし,当初より懸念されていた森林所有者の特定作業に,多大な時間と労力を要しており,こうした状況の改善を図るために,平成25年度より法務局から提供を受けた登記情報(法務省地図XMLデータ・登記事項要約書データ)を,福島県森林地理情報システム(森林GIS)・森林簿データベースシステムに導入し,受託者である株式会社パスコとともに,森林所有者の特定を行いやすくするためのデータ整備を行っておりますので,その取り組みについて紹介します。

2.地番図データと登記簿データベースの整備

福島県は,森林法(昭和26年法律第249号)第191条の2第2項に基づき,法務局から法務省地図XMLデータと登記事項要約書データ(以下「登記簿CSVデータ」)の2種類の登記情報の提供を受け,法務省地図XMLデータから地番境界を示す地図データ(以下「地番図データ」)を,登記簿CSVデータからは,登記簿データベースをそれぞれ整備しました。森林がない湯川村を除く県下の市町村を対象とし,平成25年度から平成27年度までに,県全域の地番図データと登記簿データベースを整備し,また平成28年度は,福島県浜通りの13市町村を対象として,登記簿のデータ更新を行っています。

法務省地図XMLデータには,あらかじめ地理座標を持つデータとして整備された法務省地図XMLデータ(以下「公共座標XML」)と,地理座標を持たない法務省地図XMLデータ(以下「任意座標XML」)の2種類のXMLデータがあります。福島県では,平成25年度に実施した事業の中で,公共座標XMLと任意座標XMLの2種類のXMLデータを変換して活用方法を検討し,平成26年度からは,すぐに活用可能な公共座標XMLのみを変換対象として,3カ年をかけて,県全域の地番図データを整備しました。


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