住所の構造
名称 | 特徴 |
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「支庁」 | 北海道のみに存在しますが、一般的にはあまり利用されません。 |
「郡」 | 「町村」の場合のみに存在します。東京都島嶼部のみ「郡」はありません。 |
「市」 | 日本全国でほぼ一意に存在します。 (東京都府中市と広島県府中市、 北海道伊達市と福島県伊達市が重複しています) |
特別区 (東京都23区) |
他の政令指定都市とは異なり、「市」と同じ扱いになります。 |
「町村」および「区」 | 重複名称も有りますので、郡名または市名とセットで扱う必要があります。 (例えば、特別区以外で「北区」は、2012年1月現在、札幌市・さいたま市・新潟市・浜松市など11の政令指定都市にあります) |
「字」(あざ) | 「東山1丁目」や「大字南長野字幅下」等を表します。※後述。 |
「番地・号」 | 「1番2号」や「1230番地」等で表します。 |
字名とは
「字名」とは「市区町村名の後につく地域名称で、番地の前の部分」を指しますが、「町丁字名」「町丁目名」「町字名」「町丁名」等と色々な呼称で表現されています。
「字名」は「町・大字」と「丁目・字」の2つの階層に分けられます(図②)。
「町・大字」 | 「東山1丁目」の「東山」、「大字南長野字幅下」の「大字南長野」の部分を示します。 |
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「丁目・字」 | 「東山1丁目」の「1丁目」、「大字南長野字幅下」の「字幅下」の部分を示します。 |
(補足)「大字」は明治の大合併の際に、江戸時代からの町村等が合併した際の昔の名称を残したものです。「大字」に対し「字」は村の下にあった単位が元になっていて、「小字」とも称します(「小字」は「大字」を細分化したものです」。大字および小字が付く字名(=丁目が付かない字名)は、基本的に住居表示がされていない字名になっています。
地番と住居表示
住所を表す場合に「○○1丁目1番2号」と書く場合と「△△1234番地」と書く場合があり、前者は住居表示、後者は地番による表示です。大きな違いは、地番が土地の所有者単位で付けられた番号であったのに対して、住居表示は住居や建物単位に付けられた番号という点です。
地番とは
- 「地番」とは、元々は場所を特定する為のものではなく、「土地の所有者別の番号」を意味したものでした。そのため、同じ土地(地番)の上に複数の建物が存在する場合があったり、番号が整然と並んでいないことがあったりして地番だけでは住居等の正確な位置の特定が困難なこともありえます(図③)。
住居表示とは
- 地番の不便さを解消するため「住居表示による法律」がS37年に制定され、「住居表示」が行われるようになりました(全国全地域に対して行われているわけではありません)(図④)。
- 「住居表示」とは、「丁目・字」を街区(道路や川等で区切られたエリア)で区切って番号を振り(街区符号と呼び「番」で表します)、街区内の各建物ごとに番号(住居番号と呼び「号」で表します)を付加しています。
(注)図③④はイメージ図ですので、実在の地域の住居表示や地番ではありません。
住所とアドレスマッチング
住所構造や意味合いを説明させていただきましたが、最後にGIS(地理情報システム)上で住所を扱うときの注意点をひとつお伝えします。
GIS(地理情報システム)上で店舗や顧客のポイントを決定する場合に、住所情報でアドレスマッチングをかけて位置を特定するケースが多いと思います。そのときに正しい住所を入力し、GIS(地理情報システム)の住所辞書も入力した住所に対応しているはずなのにアンマッチになる場合があります(図⑤)。
例えば東京都の府中市内にポイントを落とそうとして「府中市本町1丁目」という住所でアドレスマッチングを行ったとします。すると実際に存在する住所であるにもかかわらずアンマッチになってしまいます。なぜかというと「府中市」は東京都だけではなく広島県にも存在しており、アドレスマッチングのシステムがどちらの「府中市」なのかを判別ができなくてアンマッチになってしまったのです。都道府県名を入力すると、アドレスマッチングが行われました(図⑥)。
アドレスマッチングの機能は県名を付けなくても市区町村名からでも位置を特定することができるように工夫されていることもありますが、上記ケースでは対応しきれずにアンマッチになってしまったのです。そんなときのために住所情報は必ず都道府県名から記述してアドレスマッチングを行うことをお奨めいたします。
