空間情報とAI技術

空間情報とAI技術

人工衛星、飛行機、ヘリコプター、ドローン、車両などの空間情報の収集手段が多様化し、それらの収集技術の進歩も伴い、得られる空間情報は爆発的に増加しています。 また、これらを処理するコンピュータ技術の進化は、解析処理におけるAI技術の実装を可能にしました。

深層学習(※1)手法の一つである畳み込みニューラルネットワーク(以下、CNN)(※2)は、画像認識分野で用いられ、大量の画像を学習した結果、画像を分類する能力は人間を超える性能を発揮すると言われています。このため、パスコでの取り組みでは、主にCNNを利用した画像解析を実施しています。

(※1)深層学習:機械学習手法のひとつ
(※2)CNN:脳の視覚野の構造における知見を基に設計されている手法

空間情報処理にAI技術を実装(事例)

新築・改築・滅失などの異動判読

航空写真や衛星画像から建物や道路などの地物を検出し、固定資産に関係する家屋の異動判読に役立てています。AIを用いて自動化した結果、生産効率が向上しました。この技術は、今年度米国で開催されたコンピュータビジョンとパターン認識の国際会議で部門優勝という実績をあげています。

新築・改築・滅失などの異動判読

森林の樹種判読

日本の国土の多くを占める森林(約70%)の現況を捉え、森林経営管理の支援を行うため、航空レーザー技術とAIによる樹種判読を複合的に活用しています。航空レーザーでは、地形・樹高・樹冠などの3次元計測を行い、衛星画像や航空写真などからは、AIを使って樹種を自動判読しています。

森林の樹種判読

道路面のひび割れ箇所検出

路面性状調査の効率化・省力化を目的に、「道路現況計測システム(Real)」に搭載したラインセンサーカメラで撮影した路面データから、AIによって舗装のひび割れなどの存在を自動的に判読しています。これまでの目視判読に比べ、点検作業を飛躍的に効率化しています。

道路面のひび割れ箇所検出

海鳥の自動検出

地球温暖化防止対策の一環として本格化する洋上風力発電事業は、環境影響評価の観点から、衝突リスクのある海鳥の分布を広域かつ効果的に把握する技術の開発が急務となっています。そこで、高解像度航空写真撮影(UCE)とAI自動検出を活用した海鳥調査手法を提案し、目視で行う作業の大幅な時間短縮に繋げています。

海鳥の自動検出

ソーラーパネルの設置状況を検出

固定資産評価などのために、ソーラーパネルの設置状況を、AIを使って自動的に、そして正確に把握しています。短期間で高精度に検出できるため、目視判読や現地調査の手間を大幅に削減しています。本技術を実用化レベルまでに高めている競合はほぼなく、パスコが優位に提案できる分野となっています。

ソーラーパネルの設置状況を検出

AI技術に関する報道発表

パスコと東京大学エドテック連携研究機構がAI人材育成プログラムを共同開発
~ 空間情報事業におけるAI人材の育成を本格化 ~

2020年3月報道発表
空間情報事業分野におけるAI(人工知能)人材の育成に特化した独自の教育プログラムを共同で開発、2020年度からパスコにおける空間情報技術者を対象に、本格的な教育を開始します。

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パスコと東京大学エドテック連携研究機構がAI人材育成プログラムを共同開発

インドネシアにおける農地管理の高度化を目指し
インドネシア航空宇宙研究所(LAPAN)と実証実験を開始

2019年12月報道発表
本実証実験では、異なる分解能を持つ地球観測衛星から、パスコの人工知能(AI)技術を活用して、効率的かつ自動的に農地ポリゴンを抽出し、圃場面積や場所を推定し、定期的にモニタリング可能な技術を確立することを目的としています。なお、AI技術に関しては、日本の環境で実績のある自動抽出アルゴリズムをインドネシアの環境に対応すべくチューニングを行い、精度を高める計画です。

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インドネシアにおける農地管理の高度化を目指しインドネシア航空宇宙研究所(LAPAN)と実証実験を開始

衛星画像からAI技術による建物検出の認識精度コンペティションで“優勝”
CVPR(IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition)2018
DeepGlobe Satelliteチャレンジ:建物検出部門

2018年7月報道発表
2018 年 6 月に、アメリカ合衆国ユタ州ソルトレークシティで開催された、コンピュー タビジョン研究において世界で最も権威のある国際会議「 CVPR 」の DeepGlobe Satellite チャレンジ(国際コンペ)建物抽出部門において、パスコ衛星事業部のチームが、当社独自の AI 技術(深層学習技術)を駆使することで最高精度を達成し、優勝しました。

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衛星画像からAI技術による建物検出の認識精度コンペティションで“優勝”

人工衛星画像を用いたAI技術による抽出成果を事業化
「都市変化解析マップ」と「駐車車両推計マップ」の提供を開始

2017年10月報道発表
都市変化解析マップ(土地被覆分類・土地被覆変化)
合成開口レーダー衛星画像にAI技術(深層学習/ディープラーニング)を適用することにより土地
被覆分類マップを自動生成し、異なる二時期の土地被覆分類マップの比較から、土地被覆変化マップを生成します。

人工衛星画像を用いたAI技術による抽出成果を事業化

駐車車両推計マップ
高分解能(※)光学衛星画像(50cm分解能)で撮影した駐車場の撮影画像にAI 技術(深層学習/ディープラーニング)を適用することにより、駐車車両の台数を推計します。

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ソーラーパネルの設置状況を検出

2019年度 AI研究の論文(発表例)

・AI を用いた樹種判読と流木量算出について

(2019年度砂防学会研究発表会)

・AIを用いた河川管理実務の効率化・高度化に関する一考察

(2019年度河川技術に関するシンポジウム、河川技術論文集)

・サイズ特化型識別器を用いた衛星画像からの建物検出手法

(月刊『測量』2019年6月号)

・Mobile Mapping System (MMS)画像に対するドメイン適応を利用したSemantic Segmentation手法の検討

(第22回 画像の認識・理解シンポジウム)

・地すべり地形自動抽出のための深層学習(Dilated U-net)を活用した応用研究

(2019年度日本地すべり学会研究発表会)

・深層学習を用いた路面性状測定車によるラインセンサ画像のひび割れ自動抽出

(第44回土木情報学シンポジウム)

・深層学習による航空レーザ点群フィルタリング手法の検討

(日本写真測量学会 令和元年(2019年)度秋季学術講演会)

・緊急対応を想定したAIによる土砂災害分析の適用性

(リモートセンシング学会 第67回(令和元年度秋季)学術講演会)

・深層学習を用いた農作物の病虫害の識別

(リモートセンシング学会 第67回(令和元年度秋季)学術講演会)