2013年7月 インドネシア共和国 アンボン島天然ダム決壊による災害

2013年7月25日10時30分頃、インドネシア共和国アンボン島の天然ダムは前日からの豪雨により決壊し下流の集落をおそいました。インドネシア国家防災庁や現地報道等によれば、今回の決壊によりおよそ7mの洪水が集落をおそい、470戸の住宅の他、学校やモスク等の主要施設に被害を及ぼしました。これまで、死者8名、行方不明5名、負傷者数十名の被害が発生し、被災集落の住民5,200名以上が避難しました。(7月31日現在)

今回決壊した天然ダムは、昨年7月13日に幅1kmに及ぶとみられる斜面崩落によりウエイエラ川が堰きとめられたことで発生していました。当社は昨年12月に当地を衛星撮影し天然ダムによる湛水状況を確認しておりました。今回の天然ダム決壊後の撮影結果を合わせ、3時期のTerraSAR-X画像から天然ダム決壊までの様子を掲載いたします。なお、同じTerraSAR-X画像データにより国土交通省は当該天然ダムに関して報道発表を実施しています。(2013年8月5日)

決壊前の天然ダムの様子
下流域に集落

国土交通省提供 決壊前の天然ダムの様子、下流域に集落が確認できる

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天然ダム形成後の様子

位置図イメージ

撮影諸元

(天然ダム形成前)
撮影日時 2011年12月23日 (JST)
撮影軌道 Descending
撮影モード StripMap
偏波 HH
入射角 41度
(天然ダム形成後)
撮影日時 2012年12月9日 (JST)
撮影軌道 Descending
撮影モード StripMap
偏波 HH
入射角 41度

概要

2012年7月13日にウエイエラ川に形成された天然ダムの要因となった崩壊は、最大幅約1kmの大規模なもので、河道の閉塞長は約1km、湛水部は上流約1.7kmにまで及んでいるとみられます。
なお、本解析は2011年12月から2012年12月までの地形変状の様子を表しています。

赤の範囲 天然ダム形成前(2011年12月)と比較し湛水の影響等によりレーダーの反射が弱くなったとみられる範囲を示しています。
青の範囲 斜面崩壊等の影響により裸地化し、レーダーの反射が強くなったと見られる範囲を示しています。
天然ダム形成後の様子

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天然ダム決壊後の様子

位置図イメージ

撮影諸元

(天然ダム決壊後)
撮影日時 2013年7月28日 (JST)
撮影軌道 Descending
撮影モード StripMap
偏波 HH/HV
入射角 41度

(二時期の差分解析結果)

概要

天然ダム堰きとめ部が高さ約50mにわたり決壊し、総湛水量約1,500万m3 の内、約9割が流出したとみられます。 下流の集落ヌクリ・ヌマの一部は海まで流出し、氾濫範囲は約37万m2 に及んでいるとみられます。
なお、本解析は2012年12月から2013年7月(決壊後)までの地形変状の様子を表しています。

赤の範囲 天然ダム形成時(2012年12月)と比較し、天然ダム決壊に伴う土砂の侵食や家屋等の流出によりレーダの反射が概ね弱くなったと見られる範囲を示しています。
青の範囲 決壊の影響により水が流出し、レーダーの反射が概ね強くなったと見られる範囲を示しています。
2013年7月 インドネシア アンボン島天然ダム決壊

(一時期の画像による偏波解析)

概要

2013年7月27日の撮影は二偏波(HH/HV)により実施いたしました。
解析結果の画像では、2012年7月の斜面崩壊地や今年7月の天然ダム決壊により、集落などが一部流失したと見られる地域など、裸地に相当する箇所が赤く示されています。

2013年7月 インドネシア アンボン島天然ダム決壊

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情報掲載履歴

第1回掲載日 2013年8月22日(木)

災害発生に伴い被災状況の把握および関係各団体への情報提供の観点から、直ちに株式会社パスコは天候の影響を受けないSAR衛星画像による被害箇所の推定を実施しました。


被災された皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。
弊社では災害状況の的確な把握と被災地の復旧に、空間情報の処理および解析技術と防災コンサルティング技術がお役に立てるよう、より一層努力してまいります。

<TerraSAR-X : © 2013 Astrium Services / Infoterra GmbH, Distribution [PASCO]>
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株式会社パスコ 広報部
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