プラトーでできること
実際のユースケース実例10選

今回の記事は、PLATEAU導入がもたらすさまざまなメリットや成果を、みなさまの自治体でのまちづくりによりリアルなイメージで重ねあわせていただけるよう、パスコがこれまで実際にご提供してきた「ユースケース開発」のなかから、特にニーズの多い3つの分野での実例をご紹介します。

左から都市計画・まちづくり、防災・防犯、環境・エネルギーのユースケース例
○出典:国土交通省作成資料等(※)の掲載画像からパスコで画像を作成
※左から「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)取組事例集(2022年度)」、「PLATEAU VIEW 3.0」、国土交通省 PLATEAUサイト内「uc23-13 下水熱利用促進のためのマッチングシステム」
都市計画・まちづくり
はじめに、都市計画・まちづくり分野での活用例です。ここでは、地域の課題をきちんと可視化できることと、精緻なシミュレーションによる的確な分析が実現できることがポイントとなります。限りある人員、時間、予算のなか、より高度な分析に基づいた施策立案が可能で、合意形成や意思決定もスムーズにできます。
CASE.1 さまざまな都市情報を集約して解析
●3次元ビューア上で3D都市モデルと都市のさまざまな情報を集約して可視化。根拠に基づいた政策立案(EBPM)を支援します。
●詳細な解析により都市の現状と課題を明確化。住民説明会や審議会などの資料に活用することで理解が深まり、円滑な合意形成につながります。
都市の変遷と人口動態の関連性を可視化
複数年度の建築物データと人口動態、都市機能誘導区域を3次元ビューアで重ね合わせることで、高層建物の増加など都市の変遷や人口動態との関連性をよりわかりやすく表現することが可能となります。

○出典: 「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)取組事例集(2022年度) 」における『19.静岡県 静岡市』のユースケース開発成果イメージ図をパスコで加工
CASE.2 シミュレーションによる都市計画の将来予測
●まちづくりに関する各種施策の立案に際して、実施を想定した将来のまちの状況を3D都市モデルで可視化し分析・評価します。
●将来的なビジョンや施策効果をわかりやすく見える化することで、施策の精度を高め効果的な施策立案をサポートします。
道路拡幅による施策効果の評価
①“現在のまちの姿”の3D都市モデルで分析・シミュレーションすることで、「狭あい道路により良好な居住環境が確保できない」という課題を明らかにします。

②道路拡幅や壁面後退を実施した場合を想定した“将来のまちの姿”の3D都市モデルを構築します。

道路拡幅を実施
③“将来のまちの姿”で分析・シミュレーションを実施。道路拡幅実施前後の結果を比較することで事業効果を検証します。

道路拡幅実施後
CASE.3 都市の日照環境の解析
●3D都市モデルを活用し、建築物や都市設備、植生等の地物を考慮した精緻な日照解析を実施。道路上の日照を考慮した環境整備やイベント実施適地の選定など、ウォーカブルな(居心地がよく歩きたくなる)まちづくりの検討に活用します。
異なる時期における道路上の日照の解析
各時期の日照解析結果を比較すると、同一の時間帯においても季節の変化に伴い日照の状況が大きく変化することがわかります。

8月(12:00〜13:00)

10月(12:00〜13:00)

12月(12:00〜13:00)


12月(12:00〜13:00)

防災・防犯
次に、防災・防犯分野での活用例です。大雨や台風、地震などによる被害がますます激甚化するなか、災害対策は最重要課題となっています。リスク可視化やシミュレーション解析にすぐれた3D都市モデルは、的確で高度な防災・減災施策立案に加え、住民の意識啓発や避難行動の変容にも大きく貢献します。
CASE.1 リスクの可視化で災害対応力を向上
●3D都市モデルと災害に関わる情報や人流データなどを集約することで、潜在する災害リスクを可視化。的確な避難経路が設定できるなど、災害対応力の向上を図ります。
●可視化した情報を公開して地域住民の防災訓練に活用するほか、減災に向けた対策の検討材料として活用します。
浸水時に垂直避難が可能な建築物を可視化
建築物モデルに含まれる「建物階数」と「浸水ランク」の属性値を利用して、垂直避難が可能な建築物の可視化を実現します。

○出典: 「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)取組事例集(2023年度)」における『26.静岡県 静岡市』のユースケース開発成果イメージ図を引用
想定震度分布と建築物の重ね合わせ
想定震度分布と建築物モデルに含まれる「建築年」や「建物構造」、「避難施設情報」などの属性情報を重ね合わせ、潜在する災害リスクを可視化します。

○出典: 「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)取組事例集(2023年度)」における『26.静岡県 静岡市』のユースケース開発成果イメージ図を引用
CASE.2 時系列浸水シミュレーション
●3D都市モデルと時系列の浸水データを重ね合わせ、時間経過とともに浸水域・浸水深が増大し建物や道路などが浸水していく様子を可視化します。
●発災後に通行可能な道路の状況などを時系列で把握し、防災対策の検討材料として活用できます。さらに、人流データと組み合わせた解析を行うことで精緻な避難行動計画が策定できます。
浸水データの時系列アニメーション表示
河川堤防が決壊した後、時間経過とともに建築物や道路などが浸水していく様子をアニメーションでわかりやすく可視化します。

破堤後10分

破堤後60分

破堤後240分
CASE.3 火災延焼シミュレーション
●3D都市モデルを活用し、火災延焼シミュレーションの結果を可視化。効果的に住民の防災意識を啓発します。
●各種火災対策を実施した“将来のまちの姿”をもとにした火災延焼シミュレーションを実施。事業効果をわかりやすく示し、住民との円滑な合意形成を実現します。
建築物の不燃化による施策効果の評価
「建築物の不燃化」事業の実施前後の火災延焼シミュレーション結果を比較。事業により火災の延焼範囲が縮小されることを確認できます。
現在のまちの姿

不燃化建物率60%(黄色建物)

シミュレーション結果
将来のまちの姿

不燃化建物率90%(黄色建物)

シミュレーション結果

CASE.4 避難施設の配置計画
●人流データを解析し、災害発生時の避難行動や、「隠れ避難所」(避難所に指定されていないが、災害からの脅威から身を守るために住民などが避難している場所)を把握。避難所の稼働率の可視化や避難計画の見直しなどに活用します。
避難所の収容率の可視化
避難所として指定されている建築物の収容率を分かりやすく可視化。避難所の稼働率や余力が直観的に把握できるようになります。


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環境・エネルギー
最後は、防災同様、近年特に注目されてきた環境・エネルギー分野です。地球温暖化や気候変動などの環境問題への対策は、社会的にはもちろん、身近な暮らしのなかでも大切なテーマ。持続可能なまちづくりの必要性がたかまるなか、再生可能エネルギーの利用促進から緑化推進まで、まちづくりの幅広いシーンで、3D都市モデルが活用されています。
CASE.1 下水熱利用促進のためのマッチングシステム
●「下水熱」は再生可能エネルギーのひとつで、「冬暖かく、夏冷たい」という特性をもっています。この下水熱を有効活用できるよう、3D都市モデルを活用し「下水熱ポテンシャル」と「年間熱需要量」を算定してマッチングする解析システムを開発。エコで省エネなまちづくりに役立ちます
下水熱マッチングシステム
パスコが開発した「下水熱マッチングシステム」を使って各種解析やシミュレーションを実施し、下水熱利用を促進します。

○出典:国土交通省作成「下水熱利用促進のためのマッチングシステム技術検証レポート」よりシステム操作画面の画像を引用
下水熱ポテンシャルマップ
建築物モデルの高さや面積の情報を活用することで、従来手法より高精度に下水熱ポテンシャル値や熱需要量が算定できます。データはWebシステム上で詳細に確認することができ、情報発信の質が向上します。
ヒートポンプの配置検討
算定値から、最適なヒートポンプのサイズを自動で選定。「配置シミュレーション機能」で、建築物の干渉や外観、ポンプサイズを踏まえて配置が検討できます。


CASE.2 太陽光発電設備の設置シミュレーション
●3D都市モデルを活用して、周囲の建築物などによる遮蔽の影響を考慮した建築物の屋根面への日射量を計算。太陽光発電パネルを設置した場合の発電量の推計を行います。
●効率よく太陽光発電を行える建築物を選定できることで、太陽光発電の普及促進を支援します。
日射シミュレーション
建築物の屋根や壁に対する日射シミュレーションを実施し、太陽光発電パネルの設置に適した建築物を選定できます。

CASE.3 都市の日照環境の解析
●3D都市モデルを活用し、建築物や都市設備、植生などの地物を考慮した精緻な日照解析を実施。日当たりがよく植物の生育条件が良好なエリアを明らかにします。
●道路植栽によって家屋への日当たりを阻害する可能性についても明らかにし、まちの緑化施策の検討に活用します。
日中における道路上の日照の解析
日中の複数の時間帯の日照を解析することで、植物の生育に十分な日照時間が確保できるエリアを把握します。

朝(8:00〜9:00)

昼(12:00〜13:00)

朝(16:00〜17:00)

今回の記事では、パスコが実際に提供できるPLATEAU「ユースケース開発」のいくつかを紹介しました。
3D都市モデルというデータは、それ自体に価値があるのではありません。それを何の目的でどう使うのか。そこからどんな新しい答えを導き、どんな新しい未来を生みだせるのか。そうしたことこそが大切だと、パスコは考えています。
ご紹介したユースケースに対して、
「もしかしたら、わたしたちのまちでも活かせるかも」
「わたしたちが抱えている問題の解決の糸口になるかもしれない」
そう思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
パスコはみなさまと同じ視線で、ひたむきにまちづくりに取り組んでいきます。
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