PLATEAUの更新と拡充
導入後に必要なこと、めざすべきこと

PLATEAUの更新と拡充

3D都市モデルの初期データを構築してオープンデータ化が完了すると、自治体内での活用だけでなく、企業や団体、教育機関などが、そのデータを利用してさまざまなサービスの構築や研究開発に取り組み、幅広い領域での有効活用に向けた活動が活発化していきます。
そうした分野を超えた多くの方々の取り組みを持続可能なものとするためにも、積極的にデータの更新を行うことで情報の鮮度を保つとともに、現実世界との整合性を確保することが重要になります。
また、より高度な利用に適した3D都市モデルとするため、初期データに新たな地物を追加したり、一部地域の詳細度(LOD)を上げることも考えられます。
ここでは、PLATEAU導入後のデータ更新や拡充を実施するフェーズで考えておきたいポイントをご紹介します。

PLATEAU VIEW 3.0より

PLATEAU VIEW 3.0より

01

データ更新は、どのくらいの頻度で行えばいいか?

3D都市モデルのデータ更新の際は、発生する作業負荷やコストが気になるところです。そのため、3D都市モデルの更新だけに着目するのではなく、現在定期的に行っている行政業務におけるデータ取得・整備のサイクルと連動させ、収集した既存データを活用することをおすすめします。
とりわけLOD1の3D都市モデルについては、概ね5年ごとに更新する都市計画基本図や都市計画基礎調査情報と連動させることで、データ収集のための作業工数やコストを共用することができ、効率的に全面更新を行うことが可能です。

02

全面更新の合間に、部分的な更新・拡充を行うには?

幅広い分野での活用に資するためには、現実世界に即すよう3D都市モデルを逐次アップデートしていくことが大切です。また、駅前の再開発などのまちづくりや景観の検討などを行う際には、検討対象となるエリアのみ、データ更新や地物の追加、LODの精緻化を実施し、3D都市モデルをより高度に拡充していくことも効果的です。
こうした5年に一度の全面更新以外で行う部分更新や拡充の際も、庁内で取得・収集される調査データが活用できます。たとえば、固定資産税の評価替えのために実施する航空写真測量の成果や、道路台帳整備のために計測車両で取得した3次元点群データなども、3D都市モデルの更新・拡充に活かせます。さまざまな保有情報や測量業務と上手に連携することで、コスト最小化が可能です。

3D都市モデルの整備・更新イメージ

○国土交通省「3D都市モデルの導入ガイダンス(第4.0版)」をもとにパスコにて作成

3D都市モデルの更新に用いることができる主な資料

○国土交通省「短周期かつ効率的な3D都市モデルの更新手法技術検証レポート」をもとにパスコにて作成

03

さらに変化の早い都市部では?

都市活動の活発な地域では、建築物や道路の新設・改良などの変化が速いため、通常の行政業務と連携した更新では必ずしも十分ではなく、3D都市モデルの情報鮮度を確保するためにさらに迅速な更新が求められる場合があります。
そこで、3D都市モデル作成時点の元となった航空写真と高い頻度で撮影される衛星画像を比較して、都市の変化量をAIで分析するシステムを開発しました。変化の大きさを定量的に把握してエリアごとの更新優先度を割り出し、地域別に更新頻度を変えることで、コストの最適化と作業工数の削減につながります。

■更新優先度マップのイメージ
更新優先度マップのイメージ

○国土交通省PLATEAUサイト内「uc22-007 3D都市モデルの更新優先度マップ」より画像を引用
https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/uc22-007/

04

更新・拡充の際、より詳細な元データが必要なときは?

これまでご紹介したように、3D都市モデルの更新・拡充には既存の保有データや行政業務で取得した情報を活用することが効果的ですが、これらのデータに欠落がある、求める精度を満たさないといった場合は、新規に計測が必要です。そうした際は、必要となる3D都市モデルの更新範囲や精度などを考慮したうえで、最適な計測手法を選択し、効率的・効果的に計測作業を実施することが大切です。
パスコでは、これまで培った豊富な実績やノウハウに基づき、さまざまな計測手法のなかから最適な手法を選択し、3D都市モデルの部分的な更新・拡充を効率的に実施することが可能です。

3次元計測手法の種類と適用範囲イメージ

○国土交通省「BIM/CIM活用ガイドライン(案)第1編 共通編(令和4年3月版)」をもとにパスコにて作成

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05

更新・拡充の際の注意点は?

3D都市モデル整備の詳細を定めた「3D都市モデル標準製品仕様書」は、適宜見直しが行われ、バージョンが更新されることがあります。初期整備後に一部の地物やエリアのデータを更新する際は、最新バージョンの仕様書に合わせてデータ作成を行うことが必要ですが、その場合、古いバージョンの仕様書に基づいたデータと最新の仕様書に基づいたデータが混在する可能性があります。そうした状況では、オープンデータとして公開しても利用者にとってはプログラム処理などの際に一律に扱えず、利用しにくいことが想定されます。
そこで、3D都市モデル標準製品仕様書では、一部のデータを更新・拡充した場合でも、更新していないデータを含めたすべてのデータを最新バージョンにあわせて整備してオープンデータ化することが定められていますので、注意が必要です。

06

更新・拡充にもPLATEAUの補助金が使えるか?

国の補助金制度「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業」(PLATEAU補助制度)は、3D都市モデルを初期整備するだけでなく、データの更新・拡充の際にも利用できます。初期整備する時と同様、しっかりと事業計画を立てて申請することをおすすめします。
PLATEAU補助制度については、別コラム「PLATEAUの補助金制度」をご参照ください。


日本ではいま、めざすべき社会の姿として「Society5.0」を掲げています。これは、第5期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)において提唱された概念で、「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」をめざすものです。
デジタルツインを可能にする3D都市モデルは、Society5.0の実現に重要な役割を果たします。3D都市モデルを活用してデジタル空間でさまざまなシミュレーションを実行し、その成果をフィジカル空間にフィードバックすることで、活力にあふれた快適・安心なまちや災害に強い国土づくりを、強力に推進することが可能です。
持続可能なよりよい社会の実現をめざして、私たちパスコは自治体のみなさまとともに歩んでまいります。

「Society5.0」の実現に向けたデジタルツイン実現のイメージ

「Society5.0」の実現に向けたデジタルツイン実現のイメージ(パスコ作成)

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