PLATEAUの補助金制度
「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業」について

今回の記事では、PLATEAU導入を支援する国の補助金制度「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業」(以下、PLATEAU補助制度)についてご紹介します。
対象となる事業内容や申請要件などの概要から、申請手続きの流れ、スムーズに採択されるためのポイントまでをわかりやすく解説するとともに、採択後の事業の進め方もご案内します。どうぞお役立てください。
○国土交通省「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)ポータル」はこちら

PLATEAU VIEW 3.0より
PLATEAU補助制度の概要について
PLATEAU補助制度は、PLATEAUがスタートした2年後の2022年にPLATEAUへの参画を推進する目的で創設されました。全国の自治体を対象に、3D都市モデルの整備から活用、オープンデータ化まで、PLATEAU導入に伴う一連の取り組みを幅広く支援しています。制度初年度の2022年度は全国で37団体、2023年度は同48団体が利用しました※。
以下、制度の概要を見てみましょう。
※出典:国土交通省「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)取組事例集(2023年度)」
PLATEAUに関わる幅広い事業に利用可能
PLATEAU補助制度は、小規模な基礎自治体から都道府県単位まで、それぞれの実状に応じた多様な規模、範囲、内容、予算をカバーできるよう、幅広い項目を補助の対象としています。
主な補助対象としては、以下のようなものがあげられています。
〇3D都市モデルの整備・更新費用
〇3D都市モデルの整備・更新に必要な都市計画基本図、都市計画基礎調査、航空写真などを収集・整理する費用
〇ユースケース開発のためのデータ収集・3Dデータ作成費用
〇3Dデータを活用した分析・シミュレーション・アプリ開発などの費用
〇オープンデータ化するための費用
〇3D都市モデル活用に必要なパソコンなど設備機器の購入費用
〇3D都市モデル活用を推進するためのイベントなどの開催費用
これによりPLATEAU補助制度は、はじめて3D都市モデル整備に取り組む自治体から、保有している3D都市モデルの拡充や更新を行う自治体、3D都市モデルの新たな活用をめざす自治体まで、幅広くサポート。PLATEAU実装を推進する取り組みの、あらゆるフェイズでの利用が可能です。

補助は2つのタイプから選択
補助には2つのタイプがあります。
ひとつめは[通常タイプ]です。補助率は1/2ですが金額の上限がありません。
ふたつめは、はじめて本補助制度を利用する際に限って適用される[早期実装タイプ]です。補助率は10/10ですが上限1,000万円までの定額補助で、1,000万円を超える事業費は自治体負担となります。
本制度をはじめて利用する際でも、整備対象の規模や事業内容によっては金額の上限のない[通常タイプ]を選択した方が負担をより抑えられる場合があります。パスコは事業の企画段階での支援も行っていますので、くわしくはお気軽にお問い合わせください。
単年度でユースケース開発まで行うこと
一方、補助を受けるにはいくつか守るべき要件が定められています。あらかじめ確認しておきましょう。
●ユースケース開発を行うこと
PLATEAUがめざすのは、3D都市モデルを活用してより豊かで持続可能な社会を築くことです。そのため、申請する事業内容に関わらず、ユースケース開発は必須。はじめてPLATEAUに取り組む自治体でも、単年度で3D都市モデルの整備とユースケース開発を完了させることが必要です。
●定められたデータ形式で作成すること
国土交通省が定める「3D都市モデル標準製品仕様書」および「3D都市モデル標準作業手順書」に準拠したPLATEAU標準データとして作成することが必要です。
●オープンデータ化すること
整備した3D都市モデルはオープンデータ化し、インターネット上の「G空間情報センター」や「PLATEAU VIEW 3.0」で公開することが必要です。
●整備した3D都市モデルを維持管理・更新すること
3D都市モデルを継続的に活用するには、リアルな都市空間との同一性を維持することが大切です。定期的にデータ更新を実施することが求められています。
こうした要件は、前述した[通常タイプ][早期実装タイプ]どちらにも共通です。
さらに、以下留意したい点をあげておきます。
●整備対象エリアについて
3D都市モデルの整備対象エリアは、全域でなくてもかまいませんが、データの多様な分野での利活用を考慮し、都市計画区域や市街化区域など、ある程度のボリュームがあるエリアを整備することが必要です。
●都市計画区域の有無について
都市計画区域の設定のない自治体でも補助は受けられます。
補助申請に必要な手続きと準備について
次に、補助を申請するうえで必要な手続きとその注意点についてご紹介します。申請から採択までの主なやりとりは以下のフローをご覧ください。
ー次年度に向けたスケジュール(予定)ー



〇国土交通省「令和6年度PLATEAUコンソーシアム第1回定例会議/第1回アドバイザリーボード 会議資料」および同「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業の概要」をもとにパスコにて作成
企画内容のブラッシュアップが重要
おおまかな流れは上記のフローでおわかりいただけるかと思いますが、注目していただきたいのが、「本要望調査」に先立って「概算要望調査」が2回実施されることです。この点を少しくわしく見てみましょう。
交付を希望する自治体は、計画を具体化したのち、事業の概要をとりまとめた調査票を作成して申請します。次に、その調査票をもとにした国土交通省からのヒアリングがあり、必要事項の確認や計画内容に対するアドバイスを受けることになります。ヒアリング結果を活かして事業内容の検討・調整を行います。これをもう一度繰り返し、計画の練度を高めたうえで本要望調査へと進みます。つまり、「本審査」までに2回のブラッシュアップを行えます。
概算要望調査を受けることなく本要望調査を申請することも可能ですが、採択の可否は企画熟度が大きなポイントです。計画自体の有用性を十二分に高めることが求められますので、概算要望調査を行い、企画をブラッシュアップしていくことを強くおすすめします。
早め早めの動き出しがおすすめ
概算要望調査の際には、3D都市モデルの整備・活用を円滑に進めるうえで必ず確認を求められる必須事項があるため、あらかじめ準備・検討しておかなくてはなりません。そうした項目や内容は、本サイトで以前とりあげたコラム 「PLATEAUのはじめかた」に記載していますので、ぜひご覧ください。
そもそもPLATEAUは、多くの自治体にとってまったく新しい取り組みかと思います。企画ひとつをとっても多くの時間と労力を要しますし、検討・決定すべき事項は多岐にわたるため、各部署間での調整も欠かせません。ですので、スムーズな進行のためには動き出しを早めにすることが非常に大切です。理想をいえば、年度はじめには企画の検討を開始することが望ましいです。また、PLATEAU導入の検討段階から経験豊富な専門事業者の支援を受ける、というのも手です。

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採択後の事業実施スケジュールについて
採択の内示を受けたのち、いよいよ事業実施です。前述のとおり、本制度は原則、3D都市モデル整備およびユースケース開発を単年度で行うことが求められています。そのため、だんどりよくスムーズなスケジューリングでのぞむことが欠かせません。どのタイミングで何を用意するのか、どのように事業を進めればいいのか、おおまかな実施日程をもとに、いくつか注意すべき点をご紹介します。



〇国土交通省「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業の概要」をもとにパスコにて作成
データの収集・取得はできる限り早めに
3D都市モデルの整備・更新、およびユースケース開発は、12月中にはデータ納品を完了することが必要です。しかし、必要なデータをそろえるのに時間がかかってしまうと、3D都市モデルの整備に十分な時間を確保できなくなってしまいます。
そのため、内示後に実施計画書の作成を開始する段階で、関係部署間での調整にとりかかる、必要なデータの確認や収集・取得をはじめるなど、できる限り前倒しで進行するようにしましょう。さらには、整備を委託する専門事業者への契約・発注を早めに済ませておき、事業開始の初期段階からトータルなサポートを受けるのも、事業をスムーズに構築・展開するうえで役立ちます。
あらかじめデータ公開の取り扱い方針を確認
オープンデータ化については、G空間情報センターでの公開を2月中に完了しなければなりませんが、補助金交付申請時の計画どおりにオープンデータを公開できず、庁内の調整に時間を要する場合もありますので要注意です。
これは、3D都市モデルに含まれる属性情報について、個人情報や守秘義務に対する考え方が自治体によって異なることから生じるものです。あらかじめ、庁内各部署と連携のうえで取り扱い方針を確認し、公開・非公開のデータ区分を明確にしておくことが必要です。
今回はPLATEAUを導入する際の補助金についてとりあげました。
スムーズな採択をめざすには、ご説明のとおり、いくつか注意すべきポイントがあります。それと同時に、そもそもPLATEAUで何を行うのか、どんなまちづくりをめざすのか、目的や役割を明確にしつつ、計画当初の段階から事業の有用性や価値を高めておくことが欠かせません。
私たちパスコはProject PLATEAUのスタート当初から参画し、多くの自治体とともに3D都市モデル整備とユースケース開発で実績を積み重ねてきました。補助制度の申請手続きについてのご相談はもちろん、PLATEAU実装に関するあらゆることをきめ細やかにサポートいたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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