【雑誌掲載記事】土木学会誌 第100巻 第6号

最新計測技術による地形モデルとその活用
─調査計画─

(土木学会誌6月号「公益社団法人土木学会2015年6月発行」:CIM から広がる新たな世界)
※ 本記事は、公益社団法人土木学会の承認のもと転載しています。

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CIMに必要な地形モデルと最新計測技術の紹介

調査計画フェーズにおいて、これまでの設計では主に2次元図面上で設計方針を整理し、設計計画を立案してきたが、CIMでは3次元地形モデル上での設計計画を行うことによって、設計の制約条件である地形や交差施設などの空間的な問題点が早期に明確化され、結果的に設計ミスの防止につながると考えられる。ここでは、計画に使用する3次元地形モデルの作成に関する最新計測技術を紹介する。
3次元地形モデルは、利用フェーズによって、データの密度や位置精度が比較的粗くてもいい概略設計用モデルと、高密度・高精度を要求される予備設計・詳細設計用モデルとに分けられる。
概略設計に用いる3次元地形モデルは、航空測量平面図(縮尺1/2500 ~ 1/5000平面図)に相当する地形モデルとして、国土地理院が提供する数値地図(国土基本情報:5m標高メッシュ)から容易に作成、調達することができる。しかしながら、一部の山間地において未整備の地区が存在したり、データ整備の年次が古いなどの課題がある。
これらの課題を克服する新計測技術として、オブリークカメラ(新型航空カメラ)による写真測量が脚光を浴びている。この手法では、1回の撮影で複数の斜め方向の写真画像を同時に取得し、より詳細な地形モデルを短時間で作成することができる(図1)。

図1 従来の撮影カメラとオブリークカメラで作成した地形モデルの比較
図1 従来の撮影カメラとオブリークカメラで作成した地形モデルの比較

実測が必要な予備設計・詳細設計に用いる地形モデルの作成においては、予備設計の要求精度に対応する計測技術として、地上設置型および車両搭載型レーザースキャナー計測等がある。さらに、詳細設計の要求精度を補完する新計測技術として、UAV(無人飛行機)計測が注目されている。UAVのカメラ画像から画像マッチングにより生成する3次元地形モデルは、2~3㎝メッシュに相当する詳細なデータ(1000点/㎡)の取得が可能である(図2)。

図2 左:UAV計測機材と計測風景、右:UAV画像から作成した地形モデル
図2 左:UAV計測機材と計測風景、右:UAV画像から作成した地形モデル

UAVによるカメラ計測は、すでに災害支援として活用されているが、橋梁点検などインフラ老朽化の点検手法としても実用化が進んでおり、CIMの維持管理フェーズでの利用も有望視されている。


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